第19章 悔恨と踠きのドラコニア
『う…た、たしかに。でも、じゃあ!私はどうすれば』
彼女のその言葉に、待ってました!とでも言わんばかりにアズールが目を光らせた。
そして胸を張り、満面の笑みを浮かべてこう言うのだ。
「大丈夫です。私に良い考えがありますよ」
その何とも言えない表情と話し方に、胡散臭さを感じたトレイだったが、ローズは身を乗り出してアズールに詰め寄る。
『本当?貴方は賢いから、きっと私よりも良い案を思い付くと思ってたの!
私に出来る事なら何だってやる!私は、何をすれば良い?』
1秒でも早く、その案を知りたい!と顔に書いてある彼女に。アズールはサラリと言ってのける。
「貴女と僕が、縁組みをすれば良いのです」
トレイの眼鏡が、ずるりとズレ落ちる。
フロイドとジェイドの目が、溢れんばかりに見開かれる。
「「は…はぁあぁ!?」」
「アズール、貴方の狙いは初めからコレだったのですね」
どうやら この話の流れは、誰も知らされていなかったらしい。
その証拠に、フロイドはトレイと一緒になって、アズールの両肩を掴んでガクガクと揺さぶっている。
ジェイドも平静を装ってはいるが、目元がたしかに引きつっていた。
その中で、アズールの他には ローズだけが冷静だった。
『…なるほど。
私と婚姻すれば、アズールは堂々と国を動かせる立場に就ける。裏からお父様に擦り寄ったり、面倒な裏工作をするより確実ね。
さすがの一手だわ』
「ローズ、素直に感心してる場合じゃないと思うんだが…」