第19章 悔恨と踠きのドラコニア
「リドルから大体の話は聞いたが…。どうだったんだ、ローズ。問題は解決出来そうなのか?」
ローズは、アズールの顔をチラリと盗み見る。すると、彼は軽く頷いた。どうやら、トレイに一部始終を話す許可は得られたようだ。
『今から…全部話すね。私がこの目で見て来た事』
彼女は その言葉通り、トレイに全てを話して聞かせた。
アズール達が抱えている問題。海の中で苦しむ存在。そして、その元凶として自分の国が、特に大きく関わっている事を。
「…そうか」
トレイは、事実を自分の中で受け止め。そしてゆっくりと、ローズの頭の上へ手を添えた。
「お疲れ様。もちろん俺も、出来る限り力を貸すからな」
『!…うん、ありがとう』
トレイは彼女に、辛かったな とか、偉かったな、とか。甘やかすような言葉は言わなかった。
それをローズ自身が望んでいないという事を、分かっていたから。
「オレの前で、お姫様とイチャイチャすんの禁止〜」
フロイドが、ぱっとトレイの手を払った。
「はは、イチャイチャしてるように見えたのか?なんだかそれは照れるな」
トレイは、恥ずかしそうに笑って頬を掻いた。
「とてつもなく嬉しそうに見えるのですが」
「そんな事より。今の言葉に偽りはありませんか?」
アズールは、トレイに向き合い 確かめるように言う。
「今の言葉?
えーっと…。イチャイチャしてるように見えた事が 恥ずかしいと感じたのは、本当だが」
トレイのすっとぼけた返答に、アズールは 勢い良く立ち上がる。椅子がガタっと音を立てた。
「違います!その前!
“ 出来る限り力を貸す ” と言っていたでしょう!」実は貴方 天然なのかっ