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眠り姫の物語【ツイステ】

第17章 迫り来るオクトパス




「これで、契約は完了です」

アズールは、笑いを押し殺すのに必死だった。


元々アズール達が、周辺の国を侵略していた理由は、さきほど言っていた “ ある問題 ” が起因している。
従って、もしローズがその問題を解決してくれさえすれば、もう侵略をする意味も無くなるのだ。

自分達は労せずして 問題が解決出来るかもしれない。

そのメリットに対し、彼等が追うリスクは “ マレウス達への謝罪 ” のみ。

誰がどう見ても、どちらに利がある契約かどうかは一目瞭然だった。
そんな事は、ローズも理解していた。理解した上で、契約を交わしたのだ。

『…フロイドやジェイドと一緒に時間を過ごしていて、分かっていたわ。
貴方達が、何か大きな問題を抱えている事。

私の命を狙ったり、マレウスに罪を着せたり、きっとそんな大変な事をしてでも、解決しなくてはいけない問題。

それは、きっと貴方達3人にとって、決して軽くない物なのでしょう。

そんなにも困っているなら、私が力を貸すわ』

彼女の言葉を聞き、黙り込むオクタヴィネルの3人。リドルの溜息だけが、小さな部屋に落とされた。

「…はぁ、頼むから、他人の為に自分の命まで差し出そうとしないでくれないか」

『ごめんねリドル。また心配かけちゃう。でもほら、命は使える内に使っておかないと』

「聞いた事ないね、そんな言葉は」


アズールは、リドルと楽しそうに談笑するローズの横顔を 食い入るように見つめていた。

自分が思い描いた通りの、最良の結果なのは 言うまでもない。彼女に不利な契約を結ばせ、どう転んだとしても得をするのは彼等なのだ。
しかし…何故だか心は素直に喜んでくれなかった。

「どうですか、面白いでしょう彼女」

「あれぇ?アズールあんまし嬉しそうじゃなくね?どしたの?これって計画通りなんでしょ?」

「よしなさい フロイド。アズールは今、本当に綺麗なものを見て 改めて自分の汚さを自覚しているところなのですよ」

「ジェイド、一刻も早くその口を閉じなさい」

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