第17章 迫り来るオクトパス
それから、更に数日が経過した。
ガタゴトと揺れる馬車の中に乗っているのは、3人の男。
「本当に、でかしましたよ2人とも!」
どう頑張っても笑いを殺す事が出来ない様子の アズール・アーシェングロットと…。
「フロイドのおかげですよ。彼が長い時間をかけて、お姫様を油断させてくれたのですから」
真意の見えない顔で笑うのはジェイド。そして3人の内のもう1人は、その片割れ フロイドである。
「あははっ もう超たのしみ〜!」
(あともうちょいで、アズールの間抜け顔見れると思うと体震えるわー)
彼等は、3人で森の家へと向かっていた。何も知らないのはアズールただ1人で、全てはリーチ兄弟の手の上だった。
「それにしても、まさか彼女がディアソムニア領内に潜んでいたとは…予想外でした。まさに灯台下暗しです。さらにご丁寧に改名までしているとは」
アズールは、足を組み替えながら感心した様子で言った。
「全ては、護衛であるハーツラビュルの王子達の発案らしいですよ。ねぇフロイド」
「え?あぁ、そうそう。多分そんな感じ〜」
ジェイドの言葉に、まるで他人事のように頷くフロイド。そんな彼の態度を見て、アズールが一抹の不安を抱えるのも致し方ない。
そんな不安を解消すべく、念を押すように彼に問う。
「貴方という人は…相変わらずいい加減ですね。
“ 今日 姫の護衛が不在になり 完全に1人になる ” という情報は、確かなんでしょうね?」
リーチ兄弟は、その言葉にニヤリと口角を歪める。
「はい。間違いありません」
「それは間違いねぇよ?」