第16章 運命とガラスの靴
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そんな可愛らしい仕草こそが、男を煽るのだと ジェイドは思った。
長い指を、ショーツの中へ忍ばせる。
『っっ、』
中指の腹で、ローズの蜜壺に触れてみる。するとそこは、切なく泣いていた。とろりとした蜜を、硬くなり始めた陰核に持ってきて 優しく撫でる。
『ぁう、っ、……』
ローズは身を震わせながらも、されるがままだ。
「…抵抗、しないのですか」
ジェイドは、ローズの陰核をクリクリといじめながら問い掛けた。
『は…っ、ぁ、だって、…さっき言ったでしょ、ジェイドが、正直に答えてくれたら…好きにして、良いって』
熱い息を吐きながら、彼女は言った。
途端に、ジェイドの動いていた指がピタリと止まる。
「………」
さすがの彼であっても、なけなしの良心が痛んだ。自分がついた嘘を信じ込み、素直に体を開く彼女に対して。
いや、ジェイドも薄々気づいていた。ローズは、さきほど彼が言った言葉を信じてなどいない事。
本当は、きっと気付いている。6年前の悲劇は、自分達の手によって引き起こされた事件である事実に。
「……」
(僕は、試されているのだろうか。このまま真実を口にしないまま、この人を抱くのか…抱かないのか)
しばらく考え込んだ後。ジェイドは答えを出した。
「いいです。僕の負けで」
『……じゃあ、本当の事を 教えて。どうして、あんな事をしたのか』
しかし、彼は それだけは絶対に口にする事はなかった。
「それは…なんの事でしょうか」
彼は最後まで、自らが思う “ 誠実 ” を貫いたのだ。
するりとローズのショーツから手を抜き去り、さきほどまで秘部を可愛がっていた指を自らべろりと舐めた。
『っひ、な、何してるのジェイド!汚いからやめなさい!』
「貴女に汚いところなど、ありはしませんよ。
……などという、ありきたりな台詞をお望みですか?」
そう言って、ふふっと微笑むジェイドは すっかりいつも通りの彼であった。