第15章 忍び寄る海のギャング
『…なんだか困ってるみたい。もし私達に何か出来るなら、助けてあげましょう』
「まさか…冗談ですよね?自分が助けて貰わなければいけないような この場面で…よもや人助けなど」
少しだけジェイドに向かって微笑むと、彼女は木の陰から出て行った。
「…本当に、貴女といると退屈しませんね。フロイドが気に入るわけです」
ジェイドは嫌味っぽく言う。しかしその言葉とは裏腹に、心の底から楽しそうな笑みをたたえてローズの後を追うのであった。
『…あの…、何かお困りですか?』
近くで見ると、より詳しい人柄が分かる。なんとも優しそうで、お上品なおばさまといった感じだ。
その女性は、急に話しかけられて少しだけ目を大きくしたが。すぐにローズに答えてくれる。
「そうなのよ、私困っているのよ。はぁ、本当にどうしたらいいのかしら」
下を向いて、また溜息を吐く。
「僕達でよければ、お力になりますよ」
にっこりと紳士的に微笑んで見せるジェイドに、彼女はケロリと言ってのける。
「他所の世界から来た人達に、こんな事頼んでも良いのかしら」
「『!』」
2人は、顔を見合わせる。一目見ただけで、そんな事が分かってしまうのだろうか。
ローズは、まさか自分の体が透けたりしているのでは?と思い体を捻って自らの体を目視で確認した。
しかし勿論、異常などは見当たらない。
「驚きました…貴女は、私達がここの人間では無いと分かるのですか」
「分かりますとも!」
女性は体を揺らして、自慢げに声を上げる。
「なぜなら私は、魔法使い。ゴッドマザーだから!」