• テキストサイズ

眠り姫の物語【ツイステ】

第15章 忍び寄る海のギャング




『……もういい。帰る』

「どうぞ ご自由に」

ローズは、背の高い草をザクザク踏み鳴らし 歩き始めた。少し距離を空けてジェイドは付いていく。
彼女は、ここが森の家の近くだと疑っていなかった。しかし歩けど歩けど、見知った道が出てこない。

『…え、ちょっと ここどこ』

「僕は申し上げましたよ?ここは、覚める事のない夢の中だと」

たしかにそんな言葉を聞いた気もするが。なんにせよ、キスの衝撃で全部吹っ飛んでいる。

『それ、もっと詳しく!』

「……ここは…」

ジェイドは仕方なく、さきほどリドルとフロイドにしたばかりの説明を 彼女にも繰り返した。



『…あははっ!それじゃ貴方、双子のフロイドに裏切られて薬盛られたのね!なにそれ傑作ー』

「今の話を聞いて、そこに引っかかるとは。貴女なかなか余裕がおありですね」

『はぁ…そうよ。笑ってる場合なんかじゃないわ』

キリっと表情を引き締め直すと、ローズはジェイドに向き直る。

『なんだかよく分からないけど、私と貴方の体の本体は、あっちにあって無事ってことね』

「そうですね。ここにいる僕達は、いわば思念体ですから。
…少なくとも、貴女の体は無事でしょうね」

ジェイドは、少しだけ不安になった。もし元の世界で、自分の体があの二人によって何らかの危害を加えられていたら…。
仮に上手く事が運んで、この世界から抜け出せたとしても、自分は無事に五体満足で帰れるのだろうか と。

もしもローズを見捨てて、自分だけ帰ろうものなら…。それこそ体を人質に取られたジェイドには、地獄しか待っていないだろう。

「…うふふふ、どうやら貴女と僕は 一蓮托生のようですね」

『……きゅ、急にどうしたの?』気持ち悪い

/ 526ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp