第15章 忍び寄る海のギャング
「………」
そんなローズを、怖いくらい美しい笑顔を浮かべて ジェイドが見つめている。
完全に動揺している彼女の腰を、紳士的とも言えるくらい優しく引き寄せる。
急に距離を詰められ驚いたローズは、ジェイドを見上げる。するとすぐに唇を塞がれた。
『っ!?』
目を大きく見開き、思わずナイフを手放して 両手でジェイドを押しのけようとするが。
がっしりと腰に手を回されていて、突き放す事が出来ない。
川の中に落ちたナイフは、水流で血が洗い流されていく。そして今は、日の光を集めて 水の中でキラキラと光っていた。
ジェイドは血に塗れた手で、ローズの顎先を上げる。
完全に上を向かせてから 自らの舌で唇をこじ開ける。
『っっ!!』
口中へ彼の舌が侵入すると同時に、さらにトロリとした液体も一緒に流れ込んでくる。
その得体の知れない物を 体内に取り入れまいと、絶対反射でローズは喉奥を閉じる。
しかし。ジェイドの長い舌がそれを良しとしない。強引に口腔の奥へと捻じ込まれ、無理やりに喉を開かれてしまう。
『ぅ、…んっ、』
彼女は、結局その液体を飲み下してしまう。
口内に薬が残っていないかを確かめるみたいに、ジェイドは舌を巧みに動かして 中全体を掻き回す。
くちゅっという水音がローズの耳にも届いた。そして、口腔を這い回る柔らかい感触と息苦しさから、目元には涙が浮かぶ。
中に液体が残っていない事を念入りに確認したジェイドは、ゆっくりと曲げていた背中を伸ばしていく。
同時に、ローズの唇も解放された。