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眠り姫の物語【ツイステ】

第14章 我儘になりたいクイーン




ローズは、大輪の薔薇に視線をやって言う。

『…私の中で、薔薇はね…リドルのイメージ。

周りに一切媚びる事なく、高貴で…芯がある。

品があって、自信があって。ほら、今もこんなに美しい』

「……ふふ、そんなふうに思っていてくれていたなんて。光栄だね」

リドルから返って来た言葉を聞いて、ローズは 自分がとんでもなく恥ずかしい事を言ったのではないかと、少し照れた。

しかし、リドルは続ける。

「とても嬉しいけど、この花が本当に似合うのは キミだ」

リドルはゆっくりとした足取りで 見事に咲き誇る薔薇に近付いていく。

そして、その手で一輪の大輪を摘んだ。慣れた手つきで 鋭い棘を取り払い綺麗にしていく。

それからローズの元へと戻って来る。

「……赤い薔薇一本。これが表す花言葉は…勿論おわかりだね?」

彼女はとっさに、頭の中でその花言葉を思い起こす。あまりにも有名な花言葉だ。

それから、こくんと頷いた。

「…ボクは、貴女を 愛しています」

ローズが頭の中で描いていた文言を、リドルが丁寧に とても丁寧に言葉にして 彼女に贈った。

真っ直ぐに、視線を彼女に向けて。そしてゆっくりと片膝を地面につける。

ローズの目の前に差し出される、美しい一輪の薔薇。

「キミは、ボクにとって かけがえのない 大切な、この世でたった1人の女性だ。

どうか、この薔薇を 受け取ってはくれないだろうか」

リドルの紡がれる言葉には、まるで一文字一文字に愛が込められているかのようで。

ローズはゆっくりと…それに手を伸ばすのであった。

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