第14章 我儘になりたいクイーン
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「ふぅ〜ん♫なるほどね。見事にハッピーエンド!ってわけだ」
リドルとローズを、城内から見下ろす1人の男。
エース・トラッポラ その人だ。
そんな彼の元に、一羽の鷹が舞い降りる。鷹は器用に エースの腕を爪でガッチリと捉えて ピタッととまる。
「………」
エースは鷹の足に括り付けられた手紙を 片手で開く。
さして大きくもない手紙。文字列にスラスラと目を通していく。
「…せっかちだよな、あの人も。そう何度も言わなくても…
ちゃんと目的は達成しましたよ、と」
彼の言う目的。とは…
この手紙の主である男に渡された、ある薬品。それをローズの服に付着させること。であった。
エースは、トレイに見つかる寸前に
“ 多分…あの人救えんのはアンタだけだから ”
そう言って、ローズの肩に手を置いた。まさにその時。例の薬品を付着させる事に成功していたのだった。
「まぁフロイドに、ちょーっといらん事は言っちゃったけど…約束通り、お役目は果たしましたからね」
エースは、適当な紙にサラサラとペンを走らせ。自分が目的を達した事を記述すると。鷹の足に折り畳んだ手紙を括り付けた。
まるで鷹は、自分がエースからの返事を受け取ったと理解したように 再び大空へと羽ばたいて行った。
「…でも、お姫様には悪い事しちゃったかな。どうかこれからも無事で過ごせますようにっ」
エースはだんだんと小さくなっていく鷹に手を合わせた。
「…はぁ〜あ!オレにこんな罪悪感持たせるんだもんなぁ…
幼気なオレの心が痛んだ分、しっかり礼はハズんで下さいよー。
アズールさん」