• テキストサイズ

眠り姫の物語【ツイステ】

第14章 我儘になりたいクイーン




強引に首を回転させられた男は、ゆっくりと白目をむいて 泡を吹いてその場に崩れた。

「っっ!ひ、人殺し!!」

『フロイドっ、貴方 なんて事を…っ』

「殺してねぇって」

ローズは、倒れた男の元に跪き 口元に手をかざす。

『あ…ほんとだ。息してる』

ほっと、2人は胸をなで下ろす。


気絶してしまった男を、適当な部屋に押し込んで。3人の隠密が再開する。

『ねぇエース』

「どうした?」

辺りに気を配りながら、エースは彼女の方へ振り向いた。

『どうして…貴方は私にここまでしてくれるの?』

普通に考えれば、エースにとってローズは邪魔な存在のはずだ。

このまま彼女が何もしなければ、リドルはこの国の王子として政に専念するからだ。本来ならば、それこそが正しい王族の姿だろう。

王子自らが、国を空けてまで1人の女性を 身を呈して守る。本来ならば、そんな事はあってはならない。

「…ん、なんでだろ」

エースは、すい とローズの顎先をすくい上げ 自分の顔を近付けて言った。

「可愛い女の子が、目の前で困ってるからじゃねぇ?」

『っ、!』

「…………」

エースは、自分に放たれる殺気を感じて すぐさまローズから手を引いて ハンズアップする。

「っていうのは冗談でー…」

殺気を放っていたのはフロイド。

今の愚行で 自分はよく殺されなかった。と、エースは生の実感を改めて噛み締めた。



「…好きなんだよな。今のあいつ等の方が」

『??』

「規則規則ってうるさかったリドル王子が、なんだか丸くなって。

真面目で堅物だったデュースが、どうやったら好きな子を落とせるかって 本とか読んで勉強し出してさ。

仕事人間だったトレイ支配人が、毎日キッチンで菓子作ってんだぜ?

あはは!こんなの超面白いって」

本当に楽しそうに話すエースに、ローズは時間が経つのも忘れて 耳を傾け続ける。

/ 526ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp