第14章 我儘になりたいクイーン
「『ヤッターー!』」
巨大迷路 攻略!と2人は万歳して喜んだ。
「はいはい、おめでとさーん。っていうか、めちゃくちゃズルしたの分かってるよな?あんなのチートだから」
ズルとかチートとか、そんな事はローズにとって 心底どうでも良かった。
大切なのは、リドルへとまた一歩近付いたという事実。
「じゃあ、こっちね。出来るだけ人通り少ないとこ選ぶから、ついてきて」
再びエースを先頭に、ついに3人は城内へと侵入を果たしたのだった。
こそこそと、まるで一国の姫がこれでは泥棒だ。
煌びやかな広間や、広くて長い通路、重厚感のある大扉。そんなのを何度も何度も通り過ぎて、彼等が目指すはリドルの自室。
実はそこには彼の姿は無いのだが。そんな事は3人が知るはずもない。
「っていうかさぁ、オレ思ったんだけど。
お姫様が、お姫様だって言えば もっと簡単に城に入れたんじゃね?」
フロイドが、当然の疑問を口にした。
足音を殺しながら、ローズが静かに答える。
『リドルにね、言われてるの。
絶対に、誰にも、私の正体は明かすなって。どこに誰が潜んでいるか分からないからって。
勿論、私に呪いをかけたドラゴンにも注意が必要だけど…。それがなくても、金銭が目的で誘拐しようって考える悪い人がいないとも限らないから…って』
「…ふーん。金魚ちゃんらしい、慎重な考えだねぇ」
「おい!そこで何をしてる!」
エースが前方の警戒をしている間に、背後から近づいていた衛兵に声をかけられてしまう。
「!ヤ」
エースの口から、ヤバ。と発せられるよりも早く。
フロイドが動いた。
その俊足で、あっという間に衛兵の背後に回り、両耳を塞ぐようなかたちで頭を持つ。そしてその後頭部を コキっと90度回転させた。