第14章 我儘になりたいクイーン
「お〜〜ぃ、聞こえる〜?」
『フロイド!聞こえる!』
随分と遠くの方から、彼の声が聞こえる。あの1跳びで、いったいどれくらい遠くに飛んだのだろうか。
「えっとねぇ、いまお姫様がいるところから、右 左 左 右 って進んで〜」
『わ、分かった! 行きましょうエース!』
フロイドから指示を受けたローズは、言われた通りの道順で進む。
するとそこには…
「あ、来た来た。久しぶり〜」
待ちくたびれた様子のフロイドの姿があった。
『驚いたわフロイド!でも凄い!まさに神業!』
「え〜?俺エラい〜?」
『えらいえらい!』
ローズはうんと背伸びをして、フロイドの頭を撫でる。
気持ち良さそうに目を瞑るフロイド見て、エースは不服そうな表情を浮かべる。
『この調子で、早く攻略しちゃいましょう!』
「りょうか〜い」
フロイドとローズは、2人でエースの方を見つめた。
「……はいはい 分かったって!また俺が馬になんのね!
なんか面白くないわー」
しぶしぶエースが腰を折ると、さきほどと同じようにフロイドは宙を舞った。
高く高く身を投げると、ぐりんと体を回転させながら辺りを見渡す。眼光をたたえる彼の瞳には、またゴールへと近付く道順が見えている事だろう。
フロイドが着地した気配のあった少し後、また曲がり角の指示がくる。
『さ、行きましょ』
彼女はエースに声をかけると、スタスタとゴールに向かって歩みを進めるのだった。
「…ちぇ。まじでゴールへの最短ルートじゃんか。
つまんねーの。もっとこの2人と遊んでたかったのにな」
彼の小さな呟きは、ローズの耳に届く事はなかった。