第14章 我儘になりたいクイーン
———再びフロイド一行。
彼等は、突然現れたエースと名乗る青年と行動を共にしていた。
案内をする為、よどみなく動いていたエースの足が ピタリと止まった。
『…ここは…』
「巨大迷路じゃん!おもしろそー」
困惑するローズをよそに フロイドは一目散に、その草垣で出来た迷路の中に飛び込んでいった。
『え、えっと、パラッパラッパーさん』
「…俺、トラッポラね」
『パッパラパーさん』
「もうエースでいいって!」わざとだろ!
『ねぇエース、私達とても急いでいるの。案内してもらって助かったんだけど もっと早く確実に城内に入れる入り口はない?』
エースとの距離を詰め、ローズは懇願する。
自分を縋るように見上げる彼女を見下げて、エースは言う。
「残念だけど、ここが一番確実なんだわ。他の入り口は全部門番が立ってて全滅。
だーいじょうぶだって!俺がきっちりゴールまで案内してやるからさ!
それにほら…」
さきほどフロイドが走って行った方向を指差す。
「お仲間さんはもう、とっくにスタートしちゃってるぜ?」
『フ、フロイド…』
新たな楽しみを見つけて、とっくに迷宮へと駆け込んでいたのだった。
仕方なくローズは、エースの斜め後ろについて迷路を進んでいく。
「えっと…たしか、ここを左で…」
左を見ても右を見ても、緑 緑。彼女は方向感覚などとっくに失っていた。こうなったら本当に、エースだけが頼りだ。
しばらく進んでいくと、前からフロイドが姿を現した。
向こう側から来たと言う事は、彼はゴールに到達出来ずに迷っているという事を意味する。