第14章 我儘になりたいクイーン
———同時刻
ハーツラビュル城内
「え…今、なんて言いました?」
デュースは、リドルに告げられた言葉に 耳を疑った。
「…一度でお聞きよ。
ボクは同じ事を2度言うのは好きじゃない」
明らかにリドルはイラついていた。
きっとまだ、自分の中で葛藤があるのだろう。
「ローズの事を、今後は君達に任せると言ったんだよ」
自分の聞き間違いなどではなかった事を、デュースは確認した。
2人の隣では、トレイが複雑な面持ちで事の成り行きを見守っている。
「…はは、なんの冗談ですか?それ」
「このボクが冗談を、言っていると…?」
リドルが目に角を立てたのを見て、トレイが2人に割って入る。
「デュース。これは女王陛下の命令なんだ。
だから今後は、俺とお前の2人であの子を守」
「俺はリドル先輩と話をしてんですよ!!貴方は口を挟まないで下さい!」
デュースは、リドルよりも明らかに怒っていた。
まるで人が変わってしまったかのような彼を、リドルとトレイは初めて見た。
拳を固く握り、しっかりと自分の君主を睨み上げて デュースは伝える。
「本当にそんな理由で、貴方はローズの護衛を放棄するんですか?」
「…放棄、だって?とんだお笑い草だね。それはまさに今の君じゃないのかい?
あの子を守る事を放棄して、ここにいるんだろう」
リドルから、まるで見えない湯気のような怒気が漂ってくる。
それでもデュースは怯まない。