第10章 なんでもない日のパーティ
『と、とにかく!そういう変化も、私は素敵だと思うわ!
規律に厳しいのも良いけれど、たまには気分を変えて 楽しまなくっちゃ!
リドルも、少しは肩の力を抜く事が出来るようになったのよ!素晴らしい変化じゃない?』
ローズの言葉に、隣に座るトレイは頷く。
その長い足を組み、カップを傾ける姿は様になっている。
「そう言う事。人はそれを、成長と呼ぶ」
『トレイ良い事言う!』そんな感じのが言いたかったのよ!
すかさず乗っかるローズ。
「…苺をつまみ食いした事を、成長だと言われてもね」
はぁ。とため息を漏らすリドルを横目に デュースは思った。
薔薇塗りを面倒がらなくなった自分と、苺をつまみ食いしたリドル。そして、お菓子作りマスターと化したトレイ。
はたして誰が1番、男として成長出来ているのだろうか。と。
「…………」
考え、そして思い当たる。
誰一人として男として成長していると言い難い!
まして約1名は女子に近付いているのでは?
「…はぁ、俺等 男として成長出来てる気がしないぞ」
『え?』
ローズ達が自分の方へ反応するのを見て、自分の心の声が漏れていた事に 初めて気が付いた。
「あっ、い、いや!今のはなんでもな」
『デュース、貴方が何を心配しているのか分からないけれど…
私が断言してあげる。貴方達3人は、この5年間で凄く…
格好良くなったわ!凄く素敵な青年に成長しているんだから!』
「「「………///」」」
鼻息荒く言い放ったローズだったが、3人は誰一人として声を発さない。
『…え?あれ…?デュース?』
「……〜〜っ///」
デュースは、真っ赤になった顔を自らの両手で隠し。俯いてしまって固まっていた。
『トレイ?』
「…いや、あの…ごめん、少し待ってくれ///」
トレイも、火照った顔をローズに見られまいと 片手を使い、自分の顔下半分を覆った。
『リドル??』
「まったく、君は…/// どうしてそう天然発言を次々に繰り出すのだろうね!」
いま自分の顔が赤いのは ローズに対して怒っているからだ。と誤魔化しているようだった。