第10章 なんでもない日のパーティ
「俺は、1番変わったのはリドルだと思うぞ」
「え、ボクがかい?」
リドルは首を傾げ、トレイの言葉を待った。まさか自分に矛先が向くとは思っていなかったようである。
「子供の頃のリドルなら、森の中で苺をつまみ食いなんて絶対しなかったと思う」
リドルは思わず立ち上がりそうになるのを必死でこらえた。
「なっ、な…!トレイ、それは一体なんの話っ」
『凄いトレイ!何故そんな事が分かるの?!』
「ローズは少し黙っていてくれないか!」
見事に墓穴を掘る彼女に、リドルは叫んだ。
「ま、まぁ…トレイ先輩の仕掛けたカマに全力で引っかかったローズは置いといて…。
本当に、どうして分かったんですか?リドル先輩が苺をつまみ食いしたって」
リドルが1番気になっている事を、代わりにデュースが聞いてくれた。
3人は、興味津々でトレイの言葉を待った。
「ははっ、いや別にそんな大層なことはないぞ?
ただ…ローズとリドルのカゴの中にな。入ってたんだよ。
苺のヘタが」
『「「……ヘタ?」」』
首を傾ける3人。
「あぁ。ヘタ」
頷くトレイ。
「な、なんつー初歩的なミスを…」
『あはは、私の責任ね』
「まったくだよ!!どうして そんな所だけは律儀に、それぞれのカゴの中へ入れておいたんだい!」
『だってヘタは食べられないもの!』
「そんな事はボクだって分かっているよ!」
言い合う2人を、デュースとトレイは他人事のように見守っている。
「「……仲良いなぁ」」