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眠り姫の物語【ツイステ】

第2章 オッドアイを保有する兄弟




とはいうものの、明るく元気で優しい彼女は

誰からも愛されていた。

両親の愛を一身に受け、真っ直ぐに育った。

そんな彼女の事を悪く思う者など皆無だったのだ。



「ほら姫様。そろそろお着替え致しましょう。

もうすぐにオクタヴィネルから、フィリップ王子様がお見えになりますよ」

そう言って女中は、その小さな背中を優しく押した。

『そうだった!ふふ、フィリップに会うのは久しぶり…

でも着替える必要、ある?』

「勿論ですよ!フィリップ王子は姫様の許嫁なんですから

可愛く着飾ってお出迎え致しましょう」

彼女は、はぁい。と返事をしたが。

実は正装ドレスがとても苦手だった。あの背骨が軋まんばかりに締め付けてくるコルセット。

苦しいし動きにくいしで。世の女性達は、どうしてこんな面倒な物を好んで付けているのだろうかと。

彼女は常々不思議に思っているくらいだ。



オーロラが重たい足取りで衣装部屋へ行くと。そこにはリア王妃が待っていた。

我が娘に着せるドレスの候補であろう、2着を両手に持って。あれやこれやと女中と話をしている。

「あら遅かったわね、早くこっちへいらっしゃい」

母に手招きされて、彼女はすぐに側に駆け寄った。

『お母様、いま手に持ってるの…私が着るの?』

「勿論じゃない。きっと貴女に似合うわ」

母が選んだのは、ピンクのドレスとグリーンのドレス。それぞれキラキラと揺れていた。

子供らしく、リボンやフリルが多くあしらわれたデザイン。

それらもまぁ悪くはないのだが…オーロラは他のドレスを指差した。

『私、あっちが良いわ』

手早くそれを女中が持って来る。

彼女が選んだそれは、ブルーのシンプルなマーメイドドレスだった。

『キラキラ光っていて、波のようでとても綺麗だと思って』

フィリップがいるオクタヴィネルは、美しい海に囲まれた美しい国。まさに水の都。中世ヨーロッパを彷彿とさせる美しい街並みが、海に映り込む景色を見ていると。

本当におとぎ話の世界に飛び込んだのかと疑うほど。
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