第8章 なんでもある日のパーティ
陽の光を受けて、より真っ白に輝くクロス。
そんなテーブルの上には ずらりと紅茶や軽食などが並んでいる。
ティースタンドは三段重ねで、それぞれ きゅうりのサンドウィッチ。フルーツ、クッキーが収められている。
紅茶もハーツラビュル王族御用達の、高級茶葉を使用しているだけあって良い香り。
そして、美しい薔薇は 赤と白交互に飾り付けられていた。
「じゃあ準備も整ったし… “ なんでもない日のパーティ ” を始めよう」
リドルが宣言すると、トレイが物申す。
「いつもはそうだが、 “ 今日はなんでもない日のパーティ ” じゃないだろ?」
「…そうだったね」
リドルが柔らかく微笑む。
「今日は、“ ローズを新しく仲間として迎える為の ” …
って、名前が長いですね」
「はは。じゃあ差し詰め、“ なんでもある日のパーティ ” だな」
デュースとトレイも、リドルに続いて朗らかに笑顔を浮かべる。
勿論 ローズも。こんなにも素敵なメンバーに仲間だと言ってもらえている幸せを噛み締めて、喜びを胸に笑うのだった。
「そういえばリドル。ネズミは捕まえられなかったのか?」
トレイは、空のポットの蓋を不思議そうに持ち上げて言った。
いつもなら この中にネズミが入っているはずだから。
そんな彼の様子を見ながら、リドルとローズは顔を見合わせて笑うのだった。
「??」
意図が汲み取れないトレイは、首を傾げてポットの蓋を閉める。
「ふふ。今日は、いいんだ。ネズミは」
「ネズミがいないパーティなんて、初めてじゃないですか?」
デュースは初めて見た。昔からのしきたりを覆しているにも関わらず、穏やかに笑うリドルを。
そんなリドルを、嬉しそうに眺めるトレイ。
こんなふうに言ってしまっては大げさかもしれないが、なんだか友人が 大人に近づいているような。そんな気持ちになって、微笑ましかったのだった。