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眠り姫の物語【ツイステ】

第8章 なんでもある日のパーティ




『………食べるの?』

「食べないよ!!何を言っているんだい君は!」

リドルは、森の中に反響せんばかりの大声で否定した。

『良かった。ハーツラビュルでは、ネズミを食べる文化があるのかと思ったわ』

「そんな国があれば見てみたいね」

ローズは 瞳に安堵の色を滲ませながら、再びリドルと共に歩みを進める。

『じゃあリドル、どうしてパーティにネズミが必要なの?』

「ポットの中に入れるに決まってるじゃないか」

『…………』

何が、決まっているのか彼女には分からなかった。

『………だしを取るの?ネズミの』

「だから食べないってさっき言ったじゃないか!
少しはボクの話をお聞きよ!」

聞いてはいるが、分からないのだ。どうしても話が噛み合わない。

どうやらリドルとローズは、一度ちゃんと時間をかけて話をする必要があるようだ。

『と、とりあえず…私は、ネズミが登場するお茶会は…

少し嫌だわ』

「…そうなのかい?」

リドルは驚きで、大きな目をさらに大きくした。

『リドルが、どうしてもネズミが必要だって言うなら…とめはしないけど。
異文化を受け入れてみせるわ!私』

ガッツポーズで気合を入れる彼女を見て、リドルは意外にも簡単に引き下がった。

「いや…君が、必要ないと言うのなら。今回のパーティはネズミは無しにしよう」

『……ありがとう。…正直、助かるわ』

「うん」

すぐ隣を歩く彼女を、盗み見ながらリドルは考える。


ローズは、自分に色々な事を教えてくれる。

白薔薇が美しい事や、茶会にネズミは必要のない事など。

それはハーツラビュルの常識からは、少し外れてしまっているけれど。

でも、決して嫌な感じはしなかった。むしろ新鮮で楽しかった。

もっと沢山教えて欲しいし、彼女の事ももっと知りたいと思う。


これからローズともっともっと時間を共にしていけば、新しい自分にも出会えるだろうか…。

そう想像するだけで、自分にとって彼女が すでになくてはならない存在なのだと。リドルは認識したのだった。
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