第8章 なんでもある日のパーティ
ふと彼女は気が付く。3人はそれぞれ、何かしらを持っているのだ。
それは、真っ白で光沢のあるクロスだったり。キラキラと光る真新しいポットやカップだったり。はたまた、摘んできたばかりであろうみずみずしい薔薇の花だったり。
『それは何?なんだか楽しそうな匂いがするわ』
寝起きだったはずの彼女の目は、今では爛々と輝いている。
「パーティでもしようかと思っていてね。君も準備を手伝ってくれるかい?」
リドルが、言うと。手に持っているクロスがひらりと はためいた。
『手伝う手伝うっ』
「あ、勿論 ローズはその寝癖を直してからね」
『……っ、リドルまで、そんな意地悪を…///』
少し頬を染め、俯く可愛らしい彼女を見て。3人は肩を震わせてクスクスと笑うのだった。
家のすぐ隣には、屋外でお茶が飲める大きめのテーブルが設置されていた。
これは、茶会が好きなリドルの為に隣接されたものである。
トレイ達とここに集まる時には 必ずと言っていいほど、ここでお茶会が開かれていた。なんでもない日のパーティ。と称して。
髪を十分に水で濡らし、完璧に寝癖を直したローズ。
何から手伝おうかと考えていると。台所に立つトレイの姿が目に映った。
『何か作るの?』
「お、寝癖は直ったみたいだな」
『…せっかく手伝おうとしたのに、手助けはいらないみたいね』
トレイのからかうような言葉に、彼女は台所から一歩離れる仕草を見せる。
「はは。悪かったって!ここにいてくれ」
彼は遠ざかりそうになるローズの腕を軽く引いて、再び台所に導いた。
『ふふ。仕方ないわね!そこまで言うなら、手伝ってあげましょう』
「いいね。自信有り気だな。助かるよ」