第7章 真実の愛を見付ける為に
「きっとフィリップは、彼女の事を心の底から愛しているのだろうね」
リドルは、ハーブティの中に映り込む自分に視線を落として言った。
「…もしもローズが、同じようにフィリップを愛する事が出来れば…眠りから目覚める事が出来ますよね」
「あぁ。だが、さっきのあの様子だと…。
自分の気持ちが、友情なのか愛情なのか。区別が付いていないようだったな」
デュースとトレイも、頭を抱える。
その横で、つまらなさそうに頬杖をつくフロイド。
「ようはさぁ、“ 誰か ” が お姫様と本当の恋に落ちれば良いんでしょ」
「…まぁ、そういう事だね」
「じゃオレとか♪」
「「「それは無いな」」」
「あ、ひでえ」
ぴしゃりと見事に3人がフロイドに言い放った、否定の言葉。
しかしリドルの頭の中には、彼がさきほど言った言葉が反芻していた。
“ 誰か、が。ローズと 真実の恋に落ちればいい ”
「…一理あるね」
「リドル?」
「どうしたんですか?」
顎に手をやり、考え込むリドル。ついに ぱっと顔を上げて宣言する。
「うん。決めた。
ローズには、ボク達の中の誰かに恋をしてもらおう」
「「え」」
「…」
驚くトレイ、デュース。しかしフロイドは、笑いを堪えるのに必死だった。
これこそが、彼が思い描いていた理想そのもの。
彼が、こうなれば面白いのに。と思い描いていた未来そのものだった。
フロイドの中の好奇心は、見事に満たされていった。
それが満たされるのと同時に、彼は決めた。
ローズがここに隠れ住む事を、アズール達に秘密にしようと。
何故なら、もっと見ていたくなったのだ。彼等の行く末を。
きっとこれからも、この4人は自分を楽しませてくれる事だろう。
もっと言えば、もしもローズが、本気で自分を求めるようになるような事があれば…。
もっと、面白いかもしれない。
フロイドは、そう思った。