第7章 真実の愛を見付ける為に
「で、でもリドル先輩…?ローズには、フィリップという立派な婚約者が…」
デュースはしどろもどろな様子で言った。そんな彼に、リドルは冷静に言葉を返す。
「勿論、彼女が本気でフィリップと恋に落ち 真実の愛を見つけられると言うのなら、ボクもこんな提案を持ち出したりしないんだけど。
さっきのローズの様子を見ているとね…。不安を感じたのはボクだけかい?」
リドルには、彼女とフィリップが真実の愛で結ばれる未来が見えなかった。
もしも ローズが呪いにかかる事なく、あのまま何事もなくフィリップと時を過ごせていたならば。あるいはそういう未来もあったであろう。
しかし、現実は残酷にもフィリップと彼女の間を引き裂いた。距離も時間も今の2人にはあまりにも大き過ぎる障害となるだろう。
そして。そう考えているのはリドルだけではなかった。
「俺もリドルに賛成。別に…相手は誰だっていいんだ。彼女が、本気で愛する事が出来るなら。
フィリップや、リドルのような王子でも。仮に…、高い身分でもない俺みたいな奴でもな。
そういう事だよな?リドル?」
「……」
トレイがリドルに向けた その視線には、多少の挑発も含まれているようだった。
口調は穏やかではあるが平たく言えば、身分の違いくらいで遠慮はしないぞ。という明らかな宣言に他ならない。
その言葉の裏の意味をしっかりと、リドルは感じ取ったのだった。
「え〜っとじゃぁ…リドルにトレイにデュースに俺…。あとフィリップ…」
早くもバチバチと火花を散らす2人を完全に無視して。
フロイドは、それぞれの面子を指折り数えて 楽しそうに言う。
「5人もいるんだもんねぇ。これだけいたら、お姫様も誰かは好きになるんじゃないの〜?」
「ぼ、僕も勘定に入っているのか!」
「なんだいデュース。君は舞台にはあがらないのかい?まぁそれならそれで、一向に構わないのだけどね」
「う…、い、いえ…」
「え〜そうなのぉ?デュース君のチキン〜」
謂れのない雑言にカチンと来る。こうなったら腹をくくるしかない!デュースは立ち上がって宣言する。
「僕だって、やってみせます!それが、ローズの為になるのなら!」
「アハハ!ナイス〜急におとこまえ〜」
手を叩いてはしゃぐフロイドを横目に見ながら、デュースは決意を固めたのだった。