第17章 学生編・残暑のfine(幕間)
『でもまぁ…どうしても、と仰るのであれば…』
一同「!」
『お茶菓子くらいで良いのでは無いかと思います』
『そうだね!あーんな強面連中だけど皆甘い物、意外と好きだもんね』
甘い物…正直………あまりイメージが無い。
『ついでにサービスしちゃうとね、アカネとレントは和菓子派でその他は洋菓子派!』
『その他って………あ、いけない』
店の壁時計を見て声を上げる。
『つい長居しちゃったけど早く病院に戻らないと駐輪場閉まる』
『うわ、本当だ!ってゆーかそうだよ!その腕じゃ単車運転出来ないでしょ?』
『だから運転はみい』
えっ。この子こんなに小さいのに運転なんか出来るんだ。人って本当に見かけによらない。
『バタバタして申し訳ありませんが私(わたくし)達はここで失礼させていただきます』
と財布を取り出そうとするのを制する。
「無理に連れて来たんだ。お金はいらないよ」
『…有難う御座います。ご馳走様でした』
『ごちー!ほら姫早く早く』
慌しく店を出る二人を見送れば、窓から割と高めの塀を飛び越える様子が見える。あんなに激しく動いて怪我は大丈夫なのだろうか。
「珍しくアテが外れましたね、英智」
「そうだね」
「何?どうゆう事?」
「何でもないよ。こっちの話さ」
※※※
『結構探り入れられてたよね?』
『………』
『姫?』
『あー…うん、そうね』
と何かを考え込んでる様に生返事をする姫。探り入れられてたのは馬鹿な私でも流石に分かったけど…姫がここまで考え込むって事は何か別の意図があるのかも知れない。
『ところでさ、その腕…本当にどうしたの?昨日はそうなってなかったよね?』
『流石のアタシも昨夜は疲れてたからねぇ…気ぃ抜けちゃってすってんころりん』
受身が取れなかった、と笑う。何年の付き合いだと思ってるのよ。姫の嘘吐きな笑顔くらい分かる…けど多分問い詰めても答えないんだろうな。そーゆー時って大体、私達に心配かけたくない時だから。
→To Be Continued.