第5章 学生編・終夏のRecord
NoGenderのライブまで後三日に控えた今日はわんこと双子、軽音部を引き連れてショッピングモールに買い出し。と言うのも変装アイテムを入手する為に。
何故かと言うとライブに行ける事になったからである。ライブの観戦権を得たメンバーはUNDEADから我輩とわんこ、2wink、紅月から蓮巳くんと鬼龍くん、Knightsから月永くんと凜月、Fineから天祥院くんと日々樹くんの十名に決まった。
NoGenderのプロデューサーから貰ったチケットは五枚。だが行くのは十名。それもやはり食わせ者の天祥院くんで会議の少し前に池上先輩からチケットを貰っていたらしい。
「これとかイカしてるぜ!」
「覆面はちと無いのぅ…悪目立ちする」
「「じゃあこれはー?」」
「星型眼鏡も悪目立ちするじゃろう…」
雑貨屋と言えど一体何処からこんな奇天烈な物を探し当てて来るのやら。まぁ見ててとても面白くはあるが。
「我輩は少し休ませてもらうぞい」
そう伝えて店外にあるベンチの方に行こうとすると向かいの薬局屋に見覚えのある人物が目に入る。
「あれは…NoGenderのマネージャー…?」
会議で会った時とは少し雰囲気が違う気がする…と言うのも私服だからだろうか。暫く観察をしているとポンポンとカゴの中に色んな物を入れて、やがて何かを手に取ると考え込む様に黙視する。
※※※
『………』
さて。どうしたものか。
アメピン、Uピン、ヘアゴム、ヘアワックス三種…そしてヘアスプレー。こっちの方が安くて量あるしキープ出来るけど髪には悪いし匂いがちょっとイマイチ。こっちのヘアスプレーは高いけど良い香りもするし髪にまだ優しい…が相当振り撒かなきゃ崩れやすいし量も少ない。
「どうしたんじゃ?何か悩み事かえ?」
『うーん…どっちのスプレーが良いかなーって』
どうせなら少しでも髪に良い方を選びたいんだけど消耗品だし値段と量を考えるならこっち側になるんだよね。
…ってあれ?アタシ誰と話してるんだろう。
「奇遇じゃな、NoGenderのマネージャー殿」
『ひあっ!?』
-がしゃん-
な、なな…何でこんな所にこの人が。あ、いやまあ…居てもおかしくは無いか。このショッピングモールはこの界隈で一番大きいし夢ノ咲学院からも近い。