第29章 学生編・中秋のNG HalloweenLive
演奏が始まるタイミングで照明が明るくステージを照らすのも前回のライブと同じ仕様で乗っけからガンガン飛ばすのも変わらない。
「てゆか…えっ!?皆、顔隠してない!?」
「うわ、本当だ!アニメのコスプレしてるからかそれぞれのトレードマークが無い!」
紫音くんの大きなサングラス。池上先輩の絶対に乱れ無い顔半分を隠す髪の毛。黄音くんの顔面ピアス。藍音くんの鼻先まである長い前髪。朱音くんの眼帯マスク。それぞれのトレードマークが無い。
黄音くんと藍音くんは体型的に分かるが他の三人は背丈体型が近いし割と本気のコスプレのせいでそれぞれのポジションに立ってないと誰が誰だか分からない。
「む?全員傷だらけだな?怪我をしてるのか?」
「多分ハロウィン仕様の特殊メイクだと思うよ」
「Amazing!だいぶスプラッタですね!」
「てゆか紫音さん女装じゃない?」
「いや…もしかしたら女性なのかも…」
それは無い、とは言えず黙ってスクリーンを見る。
朱音くん以外は皆、素顔を知っている…がコスプレのせいなのか化粧の技術のせいなのか…はたまた両方なのか…全員素顔の原型を留めていない。つまり一番素顔が謎な朱音くんの素顔はコレじゃ無いと言う事。だからこそそれぞれのトレードマークを除外したと言う事か。
※※※
予定通りいつもの様に前半かっ飛ばした演奏をして休憩がてらにメンバー紹介をする。これもいつもの事。予定通り。この後は確かそれぞれのコスプレやお客さんのコスプレにも触れていくコーナー。
「んじゃ今日のコーナーは………ってその前にライブ配信ってどんぐらいの人が見てんの?」
『あ゙ー…ざっと百人くらいだな』
「へぇ…あんな意地の悪い仕様にしたのに百人も見れてる人いるの?」
余程コアなファンだな、とシオンは嬉しそうに笑う。
「んじゃ早速次のコーナーに行くよー」
一同「わぁぁあああ!」
「入場前ににチラシ配ったから会場の皆分かるよな?」
一同「もちろーん!」
入場前にチラシ?待って。私そんなの初耳なんだけど。何するの?
『藍音』
『!』
予定に無い事をしようとしてるシオンに戸惑っていたらアカネから名前を呼ばれて顔を上げると私の手を掴んでシオンがいつも立つ場所にエスコートされる。
『えっ?』
「せーの!」