第28章 学生編・中秋のPassion
暦も十月に入り秋らしさを増して来た今日この頃。
皆ハロウィンライブの準備とかで忙しさを増して来たけど今日は束の間の休息。暇な人達が集まって商店街に繰り出していた。
「見てみかちゃん!あのぬいぐるみとか良いんじゃない?」
「んあっ!?なるちゃん、そない引っ張らんでぇな」
「ったく…何でこうなってるんだろうねぇ…って斎宮?アンタも後輩の面倒見なよ」
「僕は人混みが苦手なのだよ…」
そんな中ふと小さな影に目が行く。よく目にする人物であまり得意としてない人だけど、あのいつもの様な元気は無く制服姿でドボドボと商店街を歩く。
「ちょっと待ってなるちゃん」
「みかちゃん!?」
「おーい!実菜未さーん!」
『!』
名前を呼ぶと此方に気付く。いつもの様に突進されるか思うててんけど、そんな素振りは一切見えず力無く微笑みながら小さく手を振る。お師さんもそんな様子の実菜未さんを気にしたのか人混みを掻き分けて実菜未さんに近付く。
「君とこんなところで出会うとはね!何だい?その辛気臭そうな顔は」
「どうしたん?元気無いやん」
『みかたんに斎宮………とKnightsの………モデルコンビ』
「「扱い雑!?」」
※※※
『いや~御免御免。私、姫みたいに頭良く無いから人の顔と名前覚えるの苦手でさぁ』
せないずとなるあらね、と疲れきった笑顔を浮かべるのはNoGenderのプロデューサーとか言う人。前回会った時はもっと天真爛漫で明るいイメージがあったんだけど…別人かってくらい暗くてジメジメしてる。
「今日は保護者は一緒じゃないのかね?」
「「保護者?」」
「あ、姫さん!」
影片がその人物の名前を出すとあからさまに更に落ち込む。
「姫…ちゃんって…確かNoGenderのマネージャーさんよね?」
「なるちゃん達知ってるん?」
「まぁちょっとね…」
あの無駄に顔が可愛くて無駄にスタイルが良くて無駄に喧嘩が強いあの子の事か、と思考を巡らせた所でゾッとする。確かにあの時は助けてもらったけど正直、あまり関わりたくない人間。
「梅雨は既に終わってると言うのにジメジメして不快なのだよ。喧嘩でもしたのかね?」
『いやいや。喧嘩する程子供じゃないから』