第27章 学生編・中秋のNoGender
『まぁ大体は纏まったから』
『ゔ~…御免、姫…』
「俺なんか一応リーダーなのに…」
しょぼくれる二人を励ましてカーディガンを池ちゃんに返却してライダースーツのジッパーを喉元まで閉め上げてジャケットを羽織る。
『みいはアタシが家まで送るから』
「大丈夫?この時間、サツの見張り多いと思うけど」
『大丈夫大丈夫。ちゃんと迂回するから』
『私が運転するよ?私は一応免許あるし』
『いやいや、そしたら単車を家に持って帰れなくなるから』
そうなれば明日の通学が面倒になる。家も学校も遠いし嫌になっちゃう。せめて家から学校くらいは近い所にしたかったんだけど…まぁそれは致し方無し。勉強はそりゃもう死に物狂いな程、大変だけど数字と成績さえ良ければ自由だし余程変な事をしない限りは学校側も家も深入りはしない。
自由と言うお宝を手に入れるにはそれなりの苦労や努力も当然。
「ワタシ、どうせ社長出勤の社長退勤だから送り迎えくらいするわよ?」
『それはいい。池ちゃんが最近忙しいの知ってるし』
跡継ぎってなると大変だからね。財閥系は特に。
※※※
自由と言うのは誰もが産まれた瞬間に有している権利。他人が縛っていいものでは無い。だけど生きて行く中で我慢をしないといけない時なんて沢山ある。
そして稀に…自由を手にする事が出来ない籠の中の鳥も存在している。
-ぎゅっ-
『みい?どうしたの?着いたよ?』
『………』
この子はとても綺麗な声と翼を持った美しい鳥。なのに頑丈な籠に閉じ込められて何重にも施錠されて尚且つ脚と翼に鎖を巻かれ飛び立つ事を赦されない不自由な鳥。
『私、勉強頑張るから一緒に進学しようよ』
『………』
『家が大変なのは分かるけど…それは姫が背負うのは間違ってる。学生を続けてるうちは自由でしょ?』
それが例え少ししか延ばせない悪足掻きだとしても。この先、姫に待ってる運命は酷過ぎる。
『有難う。昔も今もこれからも………アタシにはみいだけが救いだよ』
世界は優しくない。とても残酷だ。
→To Be Continued.