第4章 学生編・終夏のSound
容赦ない陽射しが突き刺す駐車場で待つ事、五分。一台の高級車が駐車場に入って来て適当なところで停車をする。一台うん千万は軽い高級車。大層な御曹司でも乗ってるのだろうかと暫くその車を見ていたら運転席から出てきたのはとても意外な人物だった。
「あら!零じゃない!久し振りね~」
「………池上、先輩?」
「蓮巳と月永の坊やも久し振り~」
「「えっ」」
嘗て。この学院の最強になった人。俺の一級上の先輩だった。
「池上先輩が…マネージャー?」
「違う違う。マネージャーはこの子」
と助手席に回ると扉を開けて手を差し出すと乾いた音が響いた。
-パァン-
『そう言うお遊びは大概にして』
「「「!」」」
全身の毛を逆撫でされた様な感覚。淡い色と鮮明な艶がある声だった。その様子に池上先輩は肩を竦めて頭が当たらない様に縁に手を当てて車から出る様に促す。
-カツッ-
夏の太陽の眩しさに目を細めながら校舎を見上げるのは学生とは思えない程の我儘な身体をした女の子。大胆に開いたブラウスから覗く胸元。ちょっと前屈してしまえば見えそうな程に短いスカート。
(この制服は…)
(あの超エリート学校の制服…)
※※※
あっつい。もうすぐ暦上では夏も終わるって言うのに究極に暑い。こんな所に居たら数分で溶けてしまいそう。
「じゃあこの子の事お願いねぇ。ツンツンしてるけど凄く良い子だから」
「承った…が池上先輩は?」
「私は此処で終わるのを待ってるわ…と言うより零、貴方もう高校卒業してる歳じゃ…」
「いやぁ…留学等が多くて留年になってしもうての」
話の内容から察するに池ちゃんの後輩…ネクタイの色的に三年生だけど歳は一つ上なのか。
「しかし…あの…だいぶ変られた様ですね…」
「オネエになってるー!」
「察するに天祥院くんが依頼したのは池上先輩じゃと思うのじゃが…池上先輩はNoGenderの関係者、かのぅ?」
「関係者って言うよりー寧ろNoGenderの一いn…」
-ごっ-
「へぶっ!?」
「「「!?」」」
『この人達が後輩なのは分かったけど余計な事喋らないで』
「流石…姫様…素晴らしい裏拳」
余計な事を言いかける池ちゃんを殴って制してこの学院の生徒に向き合う。