第22章 学生編・中秋のSoundTrack
カタカタとパソコンを使って編集してる所に更にもう一台パソコンを起動させて絵のフォルダを開く。
「うわ、相変わらず絵上手いなぁ藍音さん」
『みかたーん!君は本当に良い子だね!』
「映像の編集は僕が変わってあげるよ」
『宜しく。使う絵をそっちに転送するから少し重くなるかも』
カチカチと使う絵を選んでいたら後ろから声をかけられる。
「この絵のモデル…智桜姫ちゃんかや?」
『っ!?』
「言われてみれば桜音に雰囲気が似てるね」
びっ…くりした…この二人気配が無さすぎる。ってゆーか朔間…さんの方はアカネと喋ってなかったっけ、と後ろを見るとアカネと喋っているのは弟の方だった。
「この曲のイメージは智桜姫ちゃんなんじゃな」
『………違う』
「「?」」
『違うって言うか…半分正解で半分不正解』
※※※
『本当は出だしのアカペラと一番最後に本人映像的なシルエットを入れたかったんだけど…時期的に9月末の海は寒いし』
"男役のイメージが出来なくて"と言葉を濁すみいの様子を横目で見る。この曲は二年前のみいと元カレの話。多分あの日、海で思い出したんだろう。別れたのも丁度その時期の海だったから。
未だに引き摺って代弁をアタシに頼んでる。まぁみいの元カレがこの曲を聞くとは限らないけど。
『よっこらせ』
「あ~くん掛け声が年寄りみたい」
『仕方ねぇだろ。おい藍音』
『どうしたのアカネ』
みいの後ろに立つ二人の間を割ってパソコンに向かうみいに後ろから抱き着いてパソコンを見る。ふむ。成程成程。イラストの男の子はこっちの傷を抉ってくれるねぇ…って言っても女の子のイラストはアタシをモデルにしてるから仕方ないか。
『水臭ぇ事言わずにマネに頼めよ。あのアマならやってくれるだろ』
『でも…!』
『んじゃ俺は帰るぜ』
一同「!?」
『動画はもう完璧なんだろ?そろそろマネもこっちに来るだろうし…あのアマと顔合わせたら暴動になっちまう。それに俺はこれからバイトあるし』
『アカネ…』
『んじゃ皆、お疲れさん』
→To Be Continued.