第3章 ナワーブ・サベダー
朝、チュンチュンと鳴く小鳥のさえずりと暖かい陽気がカーテン越しに私に降り注ぐ。昨日と同じようにエマちゃんがみんなを起こしに回っていた。私を起こしに来たエマちゃんに『おはようございます。』と返し、準備の為に部屋に戻ると机の上には手紙が一通置いてあった。
【千代さん、ここにいる間あなたにはサバイバーとして試合に参加していただきます。あなたの役職等については以下にまとめておりますので読んでおいて下さい。】
……oh、まじか。まさか私も試合に参加することになるとは…。まあ予感がなかったかと言えばあるけど……。
ゲーム好きな私は日頃からよく第五人格をやってはいたのでルールなどはあらかた理解してはいる。……しかし、自慢じゃないがサバイバーランクは1番良かった時でも犬。チェイスも出来なくはないけど上手くないというなんとも言えない腕前だった。そして手紙にはさらにこう続いていた。
【役職:誘惑者】
外在特質:
誘惑《誘惑者は香水を使い、ハンターを誘惑することが出来る。使用されたハンターは一定の時間 誘惑者以外のサバイバーを視認することが出来なくなる。尚サバイバーは透明中に攻撃を受けると恐怖の一撃をくらう。さらにハンターが男性である場合、追加の効果が付与される。》
魅惑《誘惑者の誘惑は一定の男性サバイバーにも影響する。誘惑者が一緒に解読した時、男性サバイバーは解読に集中出来ず解読進度が15%低下する。》
魔性の手《誘惑者は独自の方法でサバイバーを回復することが出来る。回復速度は15%低下するが、追加効果を付与できる。》
……誘惑者…なんだそれは……。香水って昨日あったこれか?これを使えば他のサバイバーが見えなくなるのかな。てことはヘイトが全部私に来るってことでは……。
とりあえず頭が『?』でいっぱいだ。てか誘惑って…人見知りの私にそんなことやらせるつもりか荘園の主。それにしても、わかんないことだらけだな、これ。
〈ぐぅー〉
そんなことはどうでもいいと言わんばかりに私のお腹の虫が鳴く。
あ、お腹鳴った。えへへ。
まあ続きは後で読めばいいかな。
そう思い、私は支度をすませ、食堂へ向かうのだった。