第3章 新たな対手
智に対して敵意を剥き出しにするのも
当然と思っている。
だから、潤も智には優しくなんか
してやらないのだ。
(たかが同じ腹から生まれただけで
和也に優しくされるなんて…
そんなの許せるか~!!)
ってのが、潤の言い分。
「潤…わけのわからないことを
言ってないで、もっと智の身になって
考えてやれないのかねぇ~…」
つれない恋人は、二言目には
可愛い智ちゃんのことばかり心配する。
「兄弟は他人の始まりかも…」
ボソリと呟いた潤を
すかさず和也が横目で睨む。
「うるさい!何か言った?」
「いいえ…なぁーんにも言ってません……」
潤は嫌々……智に問いかける。
「ようはー、翔がフラフラしないで
智さんに一途になればいいってことだろ?
だったら、問題を解決するのは
いたって簡単だね。」
「へぇ~?」
「翔を、サッカーなんかできない
身体にすればいいんだよ」
「はいぃ~?」
「まぁ…趣味でスポーツを楽しむことは
できるぐらいにして、プロで通用するのは
無理って程度のケガでも負ってもらえばいい。」
「……って…?」
「まぁ、あいつもそうとう強いから正攻法では
無理としても。
俺と和也で竹刀でも持ってきて攻撃すれば、
膝と皿を割ることぐらい簡単だよなぁ~」
「----…なっ!?」
恐ろしいことを平然と言ってのける潤に
智は言葉を失った瞬間、
その代わりと言わんばかりに和也かテーブルを
ドンと拳で叩いた。
「お前ってヤツは、
昔から変だと思ってたけど…」
「ここまでとは思っていなかった?」
「いいや違う!!
今回ばかりは見直したよ!
そこまで智のことを想ってくれていたなんて…
その案に私もノッた!!」