第11章 最後の虚言
「でも……、俺は……、俺は、お前を
キズつけたのに……。
そばにいる資格なんて、あるわけが
ないじゃないかっーーーー!!!」
「資格なんかどうでもいい。
それが智の義務なんだから……」
「……あ……」
翔の唇がゆっくりと近づいてくる。
智の人生をすべて奪うために
心も、躰も、手に入れるための
契約として……。
「これでもう、一生俺のものだから……!」
そう誓うと、翔は智に所有の口づけを落とした。
瞬間ーー…、智の全身が打ち震えた。
もう逃げられない……。
不安に怯える日々は終わる……
自分の躰は、爪の一つ、髪の毛の一本まで
すべて翔のものになるのだ。
角度を変えるために唇が離れ
また、触れるたびに吐息は徐々に熱を
帯びてくる。
でも、この程度じゃダメなんだ。
ぜんぜん物足りない。
飢えて渇ききった躰が叫んでいる。
熱く、深く、激しく
舌を絡ませて、弾力を味わいながら
強く吸いまくり、その行為のせいで
口腔内に溢れる蜜をコクコクと
喉を鳴らして呑み込んでいく。
「……あ……んっ……」
頭の芯まで痹れるような熱いくちづけに
乱れた喘ぎが漏れだしていく
「大丈夫?辛くない……?」
離れようとする翔を、
両腕でしっかりと抱き寄せて
さらに深く求めたくて自ら上半身を
浮かせてしがみつく。
智にとって愛しい男のキスが、温もりが
愛撫が、一番の栄養源になるのだ。
だから、智は夢中で貪る。
さっきまでは起き上がることもできなかったのに
意外な力強さに、翔は欲望を抑えることを
さっさと諦め
欲しくて欲しくて堪らなかった躰を
膝の上に座らせる。