第6章 姑息な悪だくみ
「来る!!!絶対に……」
勝久は、智の茶色く柔らかな髪を
優しくなでつけた。
「そのうちね………」
だか、その口元には、
完全に何か企んでいる狡猾な笑みが浮かんでいる。
私の可愛い智を、
こんなふうに泣かせた罪は大きい………。
でも、久しぶりに智が私を頼って来てくれた
そんな嬉しいことはない………
もう少しだけこの時間が続けばいいと
思ってしまう自分もいた。
そして、両天秤にかけたとき………
どうしても欲望が勝ってしまうのだ。
(智には可哀想だけど…
しばらくは翔君は現れない方が、私にとっても
智にとってもいいんだよ)
この煩悩まみれの叔父いわく…
『これは、翔君へのお仕置きと、
二人への試練の代わりのほんの些細な悪戯だ。』
とやらが、とんでもない事態に発展し
運命をも狂わすことになろうとは、
この時の智にわかるはずもなかった。