第1章 もっと。
「お前!オレ様の子分のくせにずりーんだゾ!オレ様もイチゴのデザートが食いたいんだゾ!!」
私の帰りが遅かった事を心配…?してか、探しに行こうとした所を、部活から戻ったジェイド先輩にモストロラウンジにいることを聞いて迎えに来てくれた、という事らしい。そんな話を聞きながらも、先程のこともあったので気まずくなかなか先輩の方を見ることができない。
「ごめんね、グリム。帰ろう?」
「食べたいんだゾー!」
「また今度ね?」
「ふなぁーーーー!」
「監督生さんもお帰りのようですし、またいらしてください。それより目が赤いようですが…?」
ジェイド先輩の手が近づいて来たのを顔を背けてかわしてしまい、マズイ、と思って、咄嗟に「花粉症で困ってるんです。」と笑って見せると「それはそれは、お辛いですね、お大事になさってください。」と言ってくれた。
上手く誤魔化せた、かな…いや、そんなこと無いよね、きっと何かあったって気付いてる。でも、先日、“お付き合いして頂けませんか”と言われた時も、私の過去について深く追及するようなことはしなかった。
そんな風に、気を遣わせてしまうことに罪悪感も抱いてしまう。
「お前、大丈夫か?」
「大丈夫、だよ。帰ってご飯食べよ?グリムのこと心配させちゃったし、ハンバーグでも作ろうかな♪」
「ハンバーグ?!監督生!許してやってもいいんだゾ!」
「あはは、よかった、頑張って作るからね。」