第7章 淡藤の深謀 ~前編~ 【石田三成】
___今日も軍議が行われている広間の末席で大人しく座っている。
私は「お世話役」として参加していたものの…
話の内容はほとんど分かっていなかった。
(軍議に参加し始めて3ヶ月以上経つけど…
登場人物が多すぎるし、土地の呼び名も私がいた時代と全然違うし…
何が何だかさっぱり分かんないよ)
「小娘…軍議の最中にそのように考えを漏らすのはやめてくれ。
おかしくて集中できん」
「わ、私は何も言ってません!」
心の声をまた光秀さんに見透かされてしまったのか、突然話を向けられて驚いていると、
「莉乃はまだこちらに来て間もない。
情勢が分からずとも仕方ないだろう?」
秀吉さんがフォローするということは………
あわあわと動揺する私に声をかけてくれたのは三成くんだった。
「莉乃様、もしよろしければ私がお教えしましょうか?
この先も軍議に参加されますし、少しでも内容がお分かりになればご理解が深まり良きかと。」
いつものように天使のような笑顔で提案してくれた。
「それは良い。 三成を師とし、しかと学べ。」
信長様もそう言ってくれてることだし…
「はい! 三成くん、よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げた。