第37章 純白の羨望~別館~ 【伊達政宗】SS
「来る」そう思った瞬間だった。
パシンッッ!!!
政宗 「うぐっ・・・」
瞬時に身構えたものの、予想を超えた衝撃に身体が揺れる。
いつもふにゃりと笑ってる莉乃から出たとは思えない強さだった。
力も、瞳が宿すその真剣な眼差しも。
いってぇ、、、
この間秀吉に殴られて切れた、塞がりかけていた傷がまた開いた痛みを感じていた。
***
___莉乃が毒に倒れたあの日。
家康が治療だと言い張るその方法に、俺は耐えられなかった。
政宗 「家康っ!他に方法はねぇのかよ!!!」
身体に入った毒を一刻も早く外へと出させなければならない。
それは道理としては分かる。
分かるが、この方法以外にもないのか!?
家康につかみかかる俺に、秀吉が止めに入る。
秀吉 「やめろ、政宗!
医術と薬に詳しい家康が、最善の策とこの方法を取ったんだ!
治療の邪魔をするな!」
政宗 「莉乃・・・苦しそうじゃねぇか!!
こんな方法じゃ、毒じゃなくとも莉乃が死んじまうだろ!!」
身体がガクンと揺れ、頬から脳天に鋭い衝撃が走った。
秀吉が俺を殴ったと分かったのは、握りしめるその拳を見たからだった。
口の端から、生暖かいものが流れていく。
秀吉 「それもこれもお前のせいだろうがっっ!!!
お前がつべこべ言う資格はねぇんだよ!!!」
三成 「落ち着いてください、政宗様!
家康様を信じましょう。
莉乃様はきっと!きっと大丈夫です!!
お強い方ですから!」
三成は自分のことも慰めるかのように、俺と秀吉の間に割って入ってくる。
家康 「・・・治療の邪魔なんで、出て行ってください。」
家康はまるで戦場にいるような顔をしていた。
光秀 「行くぞ、政宗。
信長様に報告せねば。取り調べも開始する」
感情を一切消した光秀に促され、俺は信長様の元へと報告へ急いだ。
***