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【イケメン戦国】永遠の始まり~満ちて果てて~

第5章 梔子の嫉妬 ~別館~ 【徳川家康】




「今頃うまくやってっかな、あいつ…」



秀吉が淹れた熱い茶をすすりながら、政宗が城の方へと視線を向ける。




「しかし…

秀吉のあの演技と言ったら… 
吹き出さぬようにするのに必死だったぞ」


光秀は茶ではなく酒を飲みながら笑っていた。



同じく盃を傾けていた秀吉は



「俺だって、こんなことするの嫌だったさ。
ましてや廊下を走るなんて…


でも政宗が
『お前が協力しないなら莉乃を手篭めにしようとするところを家康に見せる』なんて抜かすから…


協力しないわけにいかないだろ。」



ムスっとして再び盃に口を付け、その先を続ける。




「だがな、これで良かったのかもな。

家康は武功を立ててのし上がることに必死だ。
あいつの育ちを見りゃ、焦る気もわかる。

でもな…もっと強い目的がなきゃ将としていづれ揺らぐ時が来る。

だからこそ、守るもんがあいつには必要だった。

莉乃が支えてくれりゃ、あいつはもっと強い将になれるさ。

そのための協力なら…惜しまねぇよ。」



三人は優しい目をしていた。




「で、光秀は家康に何をけしかけたんだ?」



「俺か?  俺はな… 何もけしかけてない」



「は?」




「思いのままに動いたところを、たまたま家康が居合わせただけだ。

本心、だったのだがな」



そう言って、ふっと笑う。



「お前が本心をさらすことなんてないだろうが」

光秀の盃を満たしながら秀吉が言う。




「政宗が策を言い出した時には驚いたがな。」




「な?『人助け』って言ったろ? 
まぁ…惜しくないかって言えば嘘になるが…


莉乃は俺が一度は見初めた女だ。


その女がどこ見てるか、俺にだって分かる。
手に入れることだけがその女の幸せじゃねぇ。」




「その割に、家康に絡んでいる時のお前は本気っぽかったぞ?」


「迫真の演技、と言え。」




そう言って3人は笑っていた。

それぞれが少し苦い気持ちを抱えながら。



家康と莉乃を想う同士として・・・

そのまま夜が更けるまで、盃と湯呑を傾けたのであった。




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