第35章 千歳の誓約 前編 【織田信長】R18
酒を飲まない政宗を除いて、この中では一番酒が弱い莉乃。
だいぶ酔いが回ってふにゃふにゃになってる莉乃が、素面の政宗と話している。
武将たちは誰一人、絶対に口には出さないが・・・
莉乃は酔うと頬が赤くなり目が潤む。
それは日中にはない艶を増した表情。
そしていつもより笑い上戸になる姿を見るのは、宴の楽しみの一つとなっていた。
「ねぇ、政宗。
今夜の料理、『精が付く』って言ってたでしょ。
元気が出て夏負けしないってこと?」
政宗 「ああ、そうだ。
そういう食材や薬味をふんだんに使ったからな。
特に旬の食いもんはいいぞ。」
「それって、子供が欲しいと思ってる人にも効く?
つまりその・・・男女間での・・・」
莉乃の無邪気な質問に話し声が止まり、広間が静まり返る。
上座にいた信長も、片眉がピクリと動いた。
酔って潤んだ目でそのような質問をする莉乃に、政宗の目がきらりと光る。
武将たちも自分たちの話はそっちのけで、二人に注視していた。
政宗 「その話、詳しく聞かせてもらおうか。
莉乃が望むなら・・・
食事をどうこうしなくても俺が今すぐ手伝ってやれるぞ、色々と。
流石にここじゃなんだから、場所変えるか?」
立ち上がろうとする政宗を秀吉が止める。
秀吉 「やーめーろ、政宗、どこに連れて行く気だ。
莉乃お前・・・子供、欲しいのか?」
「私??そりゃ欲しいよ~、今すぐじゃなくていいけどね。
男の子と女の子、両方いたらいいな~。
あ、姉妹もいいし・・・じゃぁ3人かな。
んー、何人でもいいや、へへっ。
でもまずはその前に、お嫁さんにならないと、ふふっ」
いつかの未来を想ってふにゃりと笑う莉乃。
秀吉 「な、何人でもいいって、お前・・・」
自分で言いながらも少し照れた様子が、余計に武将たちの心をわしづかみにしていた。