第35章 千歳の誓約 前編 【織田信長】R18
___安土城 宴の席
うだるような夏の夜。
安土城の宴会の間では、暑気払いを兼ねた宴が行われていた。
面子は織田軍の武将と信長、そして莉乃。
いつものように政宗が宴の料理を担当し、信長に献上された銘酒が振る舞われている。
秀吉 「しっかし、こうも毎日暑いと食欲失せるな」
政宗 「おいおい、そんなじゃあっという間に夏負けするぞ。
精の付く食い物用意したから、いっぱい食え」
「政宗の料理は格別美味しいから、食べたら元気出そう!」
沢山の料理を前に、目をキラキラとさせる莉乃。
肉、魚料理に、煮付けられた季節の野菜。
ふわふわの厚焼き卵に、塩気の効いた政宗特製の漬物。
どれも莉乃が好きなものばかりだった。
そして、美しく切り盛られた水菓子や甘味もふんだんに用意されている。
「デザ、あっ、甘味も沢山用意してくれたんだね、ありがとう!」
それは莉乃が喜ぶと知っていた政宗のささやかな『特別扱い』だった。
政宗 「お前、ほんっといい顔すんな」
莉乃の笑顔を見た政宗もまた、満足そうな顔になる。
秀吉 「莉乃、甘い物はちゃんと飯を食ってからだぞ」
三成 「秀吉様は、兄と言うより母のようですね。
お優しい。」
その一言に皆が笑っている。
信長 「政宗・・・
貴様、なぜ莉乃の好物ばかりで金平糖は用意しない」
政宗 「金平糖くらい、自分で好きな時に食べてください」
信長 「秀吉に隠されたのだ。」
秀吉 「主の健康をお守りするのも家臣の勤めです。
信長様は天下統一を成すお方。
数々の敵に勝利を治めてきたお方が、金平糖で身の毒を__」
光秀 「秀吉、長いぞ。料理が冷める」
家康 「全部かき混ぜて食べる光秀さんに、冷めるも何も関係ないでしょ」
家康の呆れた言い方にまた笑いが起きた。
「私も冷めないうちに、いただきたいです」
莉乃がにこにこと返すと、その一言で場が和む。