第34章 情愛の行方【イケ戦5周年記念】石田三成編
光秀「お前もいい年頃だ。慕う男がいてもおかしくない。
相手によっては、俺が協力してやれないこともないぞ?
家康のことを追ったこと、黙ってやるついでだ。
誰に惚れてるのかも言ってみろ。」
机に両肘を付き、顎を手のひらで支える。
さとが答えたのは・・・
「・・・三成君、です」
光秀 「・・・・・・・・・三成?」
「はい」
光秀 「三成・・・・・・ 俺が知ってる三成か?」
「他に誰がいるんですか」
顔を真っ赤にして答えた莉乃。
・・・まさかここで三成の名が出るとは。
想像してなかった名前が出たことに驚くも、顔には一切出さなかった。
そして__
俺とは逆に。
先ほどから莉乃の背後に立っていた政宗からは、驚きの表情が漏れている。
政宗 「三成!? お前、三成に惚れてたのか!?」
突然背後から響いた声に、莉乃の肩がキャッと跳ねた。
「ま、政宗っ?! いつからいたのっ!!」
政宗 「『誰に惚れてるか言ってみろ』のあたりから。
莉乃お前・・・
真後ろに立ってるのに全然気がつかねぇのな。」
豪快に笑って言う政宗に、恥ずかしさのあまり口をぎゅっと結んでいる莉乃。
なかなか見物な光景だ。
光秀「くっ、さきほど俺に同じ事をされたばかりなのにな。」
どこまでも隙だらけの莉乃に俺も笑いがこみ上げてくる。
いつ気付くのかと政宗の存在を言わずにいたが・・・
ここまで鈍感だとは。本当に、愉快な娘だ。
政宗 「店の外からお前たちが見えてな。
そっと入って驚かせてやろうと思ったら、惚れた男の話じゃねーか。
逆にこっちが驚いたぞ。
まさか三成とはなぁ・・・やめとけ。俺にしとけ。」
「・・・遠慮しておきます」
政宗の半分冗談、半分本気のからかいを速攻でかわした莉乃は、相変わらず頬を染めて口を結んでいる。