第24章 悠久と玉響 【明智光秀】
光秀との口づけは、体にびりびりとした刺激が走るほど体を震わせた。
たった数秒触れただけなのに…
好きという感情が確定しないまま、胸の奥が熱く煮えたぎるような、そんな気持ちだった。
このキスを知ってしまった以上、もう引き返せない。
進むしか選択肢がない。
光秀 「だがな、口付けして呆けるお前のその顔も…悪くないな」
そう言うとまた唇が重なり、舌が莉乃の中へと侵入する。
まるでそこが指定席かのように、すんなりと受け入れる口内。
夢中で舌を絡ませ、苦しくなるほどそれは続いた。
「光秀さん、、、
さっき『好いているかもしれない』と言いましたけど、、、
光秀さんの口づけが好きなのは…確定しました」
目を潤ませ、乱れた呼吸で報告する。
光秀 「ほう、それは奇遇だな。 俺も同じことを思ったところだ」
光秀は熱のこもった目で莉乃を見つめる。
ふたりの視線を遮るものは何もなかった。
光秀と莉乃は第三者の存在により、己の気持ちを自覚するに至った。
そして今度は、、、
お互いだけで気持ちの確認作業を進めていった。
『かも』が『断定』に変わったのは、そのほんの少し先の事。
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秀吉 「家康、涼子と会ったか?」
家康 「いえ。御殿にこの手紙が届いてました」
『家康様へ
秀吉様より家康様をご紹介いただく事になっておりましたが、この度わたくしは国で見合いをすることになりました。
もしも、私との逢瀬を楽しみにしていらしたなら申し訳ございません。
私が別の男の妻となること・・・お許し下さい。
家康様にも素敵な出会いがあることを、お祈りしております。
涼子』
秀吉 「くっっっ・・・ぶはははっっっ!!!」
こらえきれず、秀吉は大笑いをし始めた。
家康 「笑いすぎです」
三成 「家康様・・・ 残念でしたね」
家康 「いや、全く。
っていうか、なんで俺が振られた体で書かれてんだよ。」
この様子に、光秀と莉乃は目を合わせて、笑いあった。
二人の視線の温度に秀吉がすかさず文句をつけたのは、
ここから数秒先のこと。
悠久と玉響 __完__