第23章 平静と刺衝 【石田三成】R18
三成 「…政宗様、その手をお離しください」
言葉は丁寧だがいつもより低い三成のその声もにまた、雄の獰猛さが混じっていた。
二人の武将が発するピリリとした気に、部屋の空気が一気に凍る。
政宗 「まさかお前と女を取り合う日が来るとはなぁ、三成。
どちらが選ばれても恨みっこは無しだ。
で、どうする莉乃 俺を選ぶか、三成を選ぶか。
お前もあちこち引っ掻き回してねぇで、腹決めろ。」
莉乃は政宗の言葉にカチンと来て即座にこう返す。
「あちこち引っ掻き回してなんかない!
私の気持ちはもう決まってるから」
挑むように返したその視線の先には三成がいた。
政宗 「へぇ、本当にそれでいいんだな?」
力強く頷く莉乃。
強い視線が行き来する政宗と莉乃の間。
先に目を反らしたのは政宗だった。
はぁ、と盛大にため息をつくと政宗は部屋を出て行く。
「わかった… 三成、莉乃を頼んだぞ」
と言って。
政宗が廊下に出て障子を閉めると、、、
そこには口元を押さえ、肩を震わせる光秀がいた。
「随分とまぁ、強引な策に出たな。
もしあれでお前が選ばれていたらどうするつもりだったのだ?」
面白い劇を見たとでも言いたげな光秀は、その可能性のない質問を政宗にぶつける。
政宗 「ハナから負け戦仕掛けたつもりはねーよ。
奥州に連れ帰えるつもりだけどな、今でも」
そう言ってにやりと笑う。
政宗 「さてと、次は家康か。」
光秀 「家康に関しては心配ない。 信長様が…
何やら思案されていた」
政宗 「信長様が!?
人の恋路には首突っ込まないお方だと思ってたけどな…」
二人は目を合わせ、その「思案」の内容に若干の不安を覚えていた。