第22章 猛将の憂鬱 ~別館~【織田信長】R18
信長様の大きな手が、私の背中を優しくさする。
腕枕をされながら背中を包まれるこの時間が、私は一番好きだった。
背中を行き来していた手が、髪をすいてくる。
「貴様はどこを触っても心地がいいな。」
こんなことをしてくれる方だなんて・・・付き合うまでは知らなかった。
「信長様にはどこを触られても心地がいいです。」
何も着ていない肌が直接あたって、信長様のあたたかさをより感じる。
「腕枕・・・重くは、ないですか?」
「あぁ、重い。腕が折れそうだ。」
「えっ!?」
「くっっ、なんという顔をするのだ、 貴様、、、」
そう言って肩を震わせる信長様。
「顔って!! し、失礼な・・・!」
一瞬ムッとしたけれど、
冗談を言って肩を震わせ笑う姿に、私もつい笑ってしまう。
私の彼は__
何千の家臣と軍を率いる、威厳ある天下人。
第六天魔王と恐れられ、天下布武を成すまでは戦い続けるお方。
そんな方の私しか見られない姿を、これからもたくさん発見していこう。
先日まで口をきかなかったのが嘘のように、私たちはまた愛を深めていった。
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秀吉 「おはようござ・・・ん?」
信長 「なんだ?」
秀吉 「信長様、虫刺されですか? 家康に軟膏を持たせましょう」
信長 「あぁ、これか。 虫除けだ」
秀吉 「虫除け・・・?? あっっ!!!」
驚いた顔で隣にいる私をちらりと見てくる。
秀吉さんも思い出したらしい。
秀吉 「莉乃 お前なぁ・・・
家臣の手前、少しは気をつ____」
信長 「黙れ猿。 これは莉乃の『かれし』という印だ。
まったく独占欲の強い女だ、愛らしいにもほどがある。」
今まで散々私を跡だらけにしてきた方が・・・
信長様こそ、可愛らしいにも程がある。
私は心の中で呟いて笑っていた。
秀吉 「そもそも、信長様に変な虫なんかつくはずがないのに・・・」
そうぶつぶつと言う文句を聞き流し、私たちは手をつないで軍議に向かった。
「莉乃、俺にもつけてくれ」 という政宗のリクエストに、
「斬られたいのか貴様」といういつもの声がしたのは少し先の事だった。
猛将の憂鬱 _完_