第14章 魔王の平生 ~後編~誕生記念 【織田信長】R18
添い寝をし、汗で張り付いてしまった莉乃の前髪を後ろに梳いてやる。
蒸気した頬、潤んだ目、情事の後の莉乃の姿は閉じ込めておきたいほどに妖艶だ。
「貴様、あのような所業、どこで覚えた」
巻きつけられた腰を思い出し、下半身がまた疼いてしまう。
「何の事ですか?」
きょとんとする莉乃は己がどれだけ俺を狂わせるのか、自覚していないようだった。
「とんだ悪女だ…」
額に口づけを落とす。
「信長様…?」
「なんだ」
「今日の誕生日の計画は、武将の皆さんと考えたものなんです。
私から別の贈り物をしたいのですが…
何か欲しいものはありませんか?」
「あれほどの特別なものをもらったのだ、今年は何もいらん」
「じゃぁ、、、来年は??」
「ふっ、もう来年の話か。 気が早いな、莉乃は」
「信長様のお時間を確保するのは大変なんです。
秀吉さんに言って、早くから準備をしないと」
そういって可愛らしく笑う。
___貴様の笑顔が見られれば他にはいらん、そう言おうとして…
もっと大きなものが欲しいことに気づいてしまう。
決めた。 この他に欲しいものなどない。___
「…分かった。
来年の誕生日は俺の時を確保するのではなく…
貴様の時間を寄越せ。」
「??」
「貴様の…命尽きるまで、全ての時を俺のものにさせろ」
「それって…」
「祝言だ」
目が見開かれ、口が空いている。
「なんという顔をするんだ、貴様。
さっさと『はい』と言え」
「…はっ、はい!」
見る見るうちに莉乃の瞳に水分の膜が貼り、目尻からこぼれ落ちてくる。
指先で優しく拭いながら、妻の美しい嬉し泣き顔を堪能した。
天下統一までの道のりはまだ続く。
しかし、貴様が隣で温もりを与えてくれるならば、俺はこの先も走り続けられる。
しばし待っていろ、お前に新しい世を見せてやる、
この織田信長の妻としてな。