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【R18】短編小説【ツイステ】

第5章 ジェイド【後編】



隣で寝転んでいた筈の彼は身体を起こし私の身体の上に跨った。少し長い黒髪が私の頬に当たる。…やばい。怒ってる。そんな気がする。

「この期に及んで、帰るおつもりですか?僕を残して?」

「ジェイドせんぱ…」

「僕の告白を受け入れた時点で貴方は僕のものです。何処にも行かせません。帰る場所は此処、僕の隣以外無いと思って下さい。もし帰ろうとする素振りを少しでも見せたその日には……」

するりと掌が太腿の内側を摩る。貼り付けたような不自然極まりない笑顔がとても恐ろしくて言葉に詰まった。

「…二度と陸では過ごせないと覚えておいて下さい。」

「…か……かしこまりました…。」

「素晴らしい御返事ですね。これで僕も無駄に魔法薬を作らなくて済みそうです。」

上機嫌気味にジェイド先輩は元の位置へと戻った。怖過ぎて変な声出るかと思った…。どう考えてもあの目は本気だったもん。とんでもない男に好かれてしまったかもしれない。

「さぁ、もう休みましょう。明日は少し準備に時間も掛かりそうですから。」

「そうですね…グリムが変な時間に起きないと良いんだけど…。」

「彼も子供という訳では有りませんし、大丈夫ですよ。」

枕元のリモコンを手に取りスイッチを押すと部屋の灯りがパッと消える。静かで視界も閉ざされた中で温もりとジェイド先輩の声だけが聞こえるのはなんだかむず痒い。
どんな体勢で居るのが正解なのか分からなくてモゾモゾと寝返りを打とうとしたら、背を向けるより先に腰へ腕が回される。

「逃げないで。こちらを向いていて下さい。」

「見えてるんですか?」

「深海に住んでいたので夜目は効きますよ。」

「凄いなぁ、私はまだ慣れなくて全然見えないのに。」

「それは好都合ですね。」

「好都合って…あっ。」

額に柔らかいものが触れて、ちゅ、と短いリップ音が響く。キスされた事は暗くて見えなくてもわかった。
…なんだか振り回されっぱなしで悔しい。そう思って、少しずつぼんやりと見えてきた頃、私も身体を持ち上げ彼の頬へと唇を寄せた。

「……え?」

「仕返しです!それではおやすみなさい!!」
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