第2章 フロイド【R18】
「ねー小エビちゃん。何でそんな固まってんのぉ?」
「い、いや…その……固まってるっていうか、動けないだけというか…。」
今私は、リーチ先輩のベッドで彼の膝の間に座り、後ろから腹に腕を回されそこそこ強めに抱きしめられている。一体何でこんな事になってるんだろう。
事の発端はほんの数分前に遡る。授業を終え、いつもの様にエース達と中庭でだべっていた所筆箱を教室に置き忘れた事に気付き取りに向かったら、たまたますれ違ったフロイド・リーチ先輩に捕まってしまった。退屈だから何か面白い話をしろ、と無茶を言われそのままズルズル彼の部屋まで引きずられ今に至る。
身長が馬鹿高い上に今まで出会った事が無いほど気分屋で子供のようなリーチ先輩に、いつ絞め殺されるか分からない状況になればそりゃ身体も恐怖で固まる。
「小エビちゃんはちっちゃいねぇ。なんで?」
「私は女なのでリーチ先輩達みたいに大きくはなりませんよ。」
「ふーん。じゃあさぁ、甘い匂いするのはなんで?」
「うわっ!ちょ…擽ったいです!」
不意にリーチ先輩の頭が項に寄せられ唇がやんわりと触れた。その感触と、肌に触れる吐息がこそばゆく肩が上がれば彼はケラケラと陽気に笑う。
「あはっ♡ビクッてはねた。やっぱ小エビみてー。」
「擽ったがりなんですよ、しょうがないでしょう…!」
「へぇ、そーなの?じゃーあ…ここはぁ?」
「え、待……あっ、あははは!!辞め…ッ、辞めて下さ…!」
「脇腹も擽ってーんだ。小エビちゃん、弱点ばっかりじゃん……あっ、コラ逃げんなよ。」
「ぎゃっ!」
大きな両手が脇腹へ添えられ、指先が蠢き容赦なく擽られる。膝から飛び退こうと立ち上がるが、直ぐに手首を掴まれ、力任せに再び元の場所へと戻された。しかも今度は少し不機嫌になったリーチ先輩のおまけ付きだ。
「何で勝手に立ってんの?オレ立っていいなんて言ってねーんだけど。」
「擽ったくてつい…というか、いつになったら解放して頂けるのでしょうか…。」
「オレが飽きたら帰してあげる。」
それは一体何時なのだろうか。私は諦めにも似た溜息を吐き出す。リドル寮長がフロイドにだけは会いたくないって言う気持ちがよく分かった。
ガックリと項垂れていたそんな時。徐にリーチ先輩の片手が、制服のブラウスの中へ忍び込み腹をそろそろと撫でる。