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【R18】短編小説【ツイステ】

第3章 ジェイド【前編】



空は快晴。陽射しは暖かく、吹く風は柔らかく肌を撫ぜる。そんな心地よい陽気の中、私は中庭の隅の木陰で眠っていた。サボりではなく、今は昼休み。エース、グリム、デュースの2人と1匹は魔法薬学の授業で釜から泡を吹かせクルーウェル先生に居残り掃除をさせられている。皆が居ないとこんなに静かなんだなぁ…なんて思った。
浅い眠りの中で見る夢は、とても楽しいものだった。私は皆と同じ様に魔法が使えて、同じ様に授業を受けられる。見学ではなく、一緒に実戦魔法が使える。そんな…理想にも似た夢。

「……ーさん。」

「うぅ……。」

「さん。」

「ん……うわっ、えーっと…ジェイド先輩…?」

意識の外側から呼び掛けられる声に目が覚める。重たい瞼を持ち上げると、目と鼻の先まで迫ったジェイド先輩の顔があった。ビックリして後ずさると、彼はニッコリと笑顔を浮かべる。

「こんな所で1人眠るのは感心出来ませんね。貴方はこの学園唯一の女性なのですから、警戒心を持たれた方がよろしいかと。」

「あはは…なんか暖かいなーと思ったらつい寝ちゃって。ありがとうございます。」

この人はフロイド先輩と違って振る舞いと言葉はとても紳士的なんだよなぁ。腹の中で何考えてるのか分からないことはそっくりだけれど。私がホッと息を着いていたら、彼は隣へと腰掛けた。フロイド先輩と一緒に居ないなんて珍しい。

「何の夢を見ていらっしゃったのですか?とても幸せそうな顔をしていましたが。」

「えぇ、顔に出てたんですか!?恥ずかしいな。……皆と一緒に魔法を使う夢を見たんです。ただ見学するんじゃなくて、私も箒に乗ったり、色変えの魔法を使えたり!皆にとって当たり前のことが私には出来ないから、とても楽しくて。」

「貴方はほんの一滴の魔力すらお持ちでは有りませんからねぇ。憧れるのも無理は無いかと。」

「ズバッと言いますね…。どうせ魔法が使える異世界に来るなら、私だって使えたなら良かったのに。」

全く容赦のない物言いに頬が膨らむ。確かにその通りでは有るんだけど!私だって気にしてるんだから。
少しいじけていると、ふと静かに笑う声が隣から聞こえた。視線を寄越すと彼は口角を吊り上げている。何か企んでいる顔だ。また変な契約でも持ち掛けられるのだろうか、そう思って身構える。

「…そんな貴方に1つ御提案が。」
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