Good old fashioned lover boy
第14章 Extra edition1
※ヒロインside
「彼」はとても優しい人だ。
どんなに自分の仕事が忙しくても私に手紙をくれる。
携帯電話がインターネットに繋げられてますます便利なものになっても「彼」は手紙を送ることを好む人だ。
以前にディナーを共にした時、私は「携帯があるのになぜ手紙を送るの?」と聞いたことがあった。
「彼」はすぐに「貴女の書く字が好きだから」と答えた。
「貴女の字は細くしなやかで読んでるだけで心が弾むんです。疲れた時に貴女からもらった手紙を読んでますよ。」
エメラルドグリーンの瞳で私を見つめながらこう言ったのだ。
「彼」と会う時は心臓がいくつあっても足りないくらいドキドキしてしまう…。
見つめられただけで、声を聞いただけで私の心臓はうるさいくらいの鼓動を響かせ身体を熱くさせられてしまう…。
そして私が顔を赤くするとふふっと笑って耳元でこう囁くのだ。
「その赤くなった顔も愛らしくて好きです。誰にも見せたくない」と。
思い出すだけで顔が熱くなりそうになった頃、手紙を加えた一羽の黄色い小鳥が部屋の窓をつついた。
私はいつものように窓を開けて手紙を受け取ると小鳥はパタパタと飛んで肩に止まった。
「これもいつも通りだ。」と思って受け取った手紙を開けると大ぶりだがどこか繊細さを感じる字で一文だけ書かれていた。
「今夜、貴女を迎えに行って良いですか?」
以前話していた長い任務に区切りがついたのだろうか。
私は机に置いてあった紙に「はい。」とだけ書き小鳥に手紙を預けた。
まだ昼間なのに今夜が待ち遠しくなってきたのだった。