第2章 ②不思議ブレスレットで…【尾形に激写スナイパーしてもらった】
「オーッス尾形ー」
今まさに、川を泳いでいる鴨を仕留めようとしていた尾形の背後で、突然マヌケな声がする。
「気味悪ぃ」
「失礼な、人を幽霊みたいに」
いつも通り、和栗は突然何も無い所からフラっと現れる。
幽霊とどう違うというのか。
鴨はそんな和栗に驚き、飛んで行ってしまった。
「クソ」
「あ、ごめん」
たいして悪びれもせずに謝るので、尾形は少し眉を寄せた。
「でもちょうどよかった、アッチで鳥をとってもらいたいんですよ」
どこかへ行こうとする尾形の腕を、和栗はガシッと掴む。
「ちょっ!今丁度珍しい鳥さんがきてんの!飛んでっちゃう!飛んでっちゃうから!」
尾形は魚のような目であさっての方向を向いている。
「あたしやってもとれなかったのぉお!尾形さんの腕ならいけるよ!ねっ!」
今度は腕を抱きかかえ、意地でも離さない姿勢を見せる。
「向こうは無断で狩りも出来なければ、銃も安々所持出来ないんじゃなかったのか」
「違うよー!とるって、写真のことだよ!あの鳥さん食べてもそんなに美味しくないと思うよ?!」
「それで、俺に何の特がある」
「う...」
何とか引き留めようとグルグル考える和栗を、尾形はジッとみていた。
「あ!じゃ、じゃあ、滞在中に服をお洗濯するというのはどうですか?!」
「また変な匂いにされたら獣に...」
「しないしない!そう言うと思って無香料の買っといたんだもん!」
「....」
「....」
尾形は横の髪を撫で付けながら、少し視線を落とした。
「...前払いだ」
「は?なん...」
尾形に顎の下を掴まれると、そのまま勢いよくキスされ、木の幹に背中を打った。
間髪入れずに生暖かい舌が入り、乱暴に歯の内側をなぞられて目が回る。
「っっふっ!」
思わず漏れた声に気を良くした尾形は、鼻で笑って離れた。
「ぅうう〜」
和栗は手の甲でゴシゴシと口元を拭いながら、尾形を睨む。
実はまだ処女である彼女を、だんだん自分の手で染めていくのが楽しいらしい。